生活習慣病に良い温泉水
温泉水の効能についての臨床報告 熊日新聞・紙上サイエンス講座より
温泉の湯を飲む、いわゆる飲泉健康法は胃の運動を刺激し胆汁の分泌を促進するなどの作用があるようです。 厚生省の委託を受けた植田理彦日本健康開発財団総合検診センター所長などの「成人病の飲泉療法に関する基礎的研究」でわかったもので、その成果を「飲泉が生体機能によい影響を及ぼすことが医学的に立証された。無機物が豊富な温泉水は”飲む野菜”といえる。」とまとめています。
研究したのは植田所長ほか北海道大学、九州大学などの教授陣。
温泉を飲むことによって消化器などの運動がどう変化するかをエックス線撮影した造影剤の動きで調査する方法が採られました。
また、消化器ホルモン分泌については(1)水道水を飲んでいるグループ(2)飲泉グループとにわけ、血液中の各種ホルモン分泌量をそれぞれ時間を追って測定、比較対照して人体への影響を調べました。
このうち飲線による胃腸の運動に及ぼす影響調査では十三歳から十八歳までの健康な男女39人に泉質4種類の温泉を一日三回、百五十ミリリットルから六百ミリリットルを三週間つづけて飲んでもらいました。
その結果、泉質を問わず胃の中でバリウムの停滞時間が短縮された。とくに硫化水素線と石膏泉では小腸への移送が大幅に促進され、30%の人から便秘をよくする作用が見られました。つまり、飲泉により胃腸排出機能が改善されたわけです。
一方、飲泉のホルモン分泌に及ぼす影響調査では飲泉グループ9人と水道水グループ10人とを比較対照した。それぞれのグループに同じ36度の温泉水と水道水を飲んでもらい、飲む前の1回と飲んだ後の10分ごとの3回、計4回の血液中の血糖、血中遊離脂肪酸など8種類を測定しました。
その結果、飲泉グループは血中遊離脂肪酸が低下、胃液の分泌が活発化したことを示す血清ガストリンの上昇や胆汁酸の増加などが確認された。このことから飲泉は遊離脂肪酸の代謝回転率を促進、組織への取り込みや利用を高め、慢性膵炎、胆のう炎などの治療にも有効であることがわかったそうです。
こうした結果につき研究グループは「温泉こそ本物のミネラルウォーター。
飲めば生体機能によい影響を及ぼすことが医学的に立証された。
とくに無機物が豊富に含まれているので、まさに"のむ野菜"といえる。
ただし、飲む際はかならず飲泉を許可している都道府県で飲んでほしい」と話しておられます。
ところで、この飲泉はヨーロッパでは一般的だが、わが国ではあまりなじまれていません。
しかし、環境庁が重金属の検査や衛生基準などを定めた温泉飲用基準を各県宛に通知したことから各地で飲泉の見直しがされています。